第六回 パクリじゃない、影響を受けたんだ
この初秋にいまだ出ていたので、好物の冷やしチャイを注文。
複雑な味なのでインテリ気取りの午後にはお誂え向きでした。
やってたのは小説のネタ出しです。
隣の席で、高円寺パンクな方々が本の話をしていました。
一人は、高校時代に読んでいたのが安部公房。今は、村上春樹が好きだとか。
もう一人は割と読書家だが、村上春樹は短編小説を一作読んだだけとか。
春樹作品は近年まで、何となく読まないでおりました。
近年といっても、ついこの間かな。
ネットでたまたま、彼のメッセージにぶち当たり、とうとうその文章に触れてしまったのでした。(リンクはこちら)
当時読んで思ったのは、
この人の小説は読んじゃいけない
という恐怖。
あのメッセージを追っていると、頭のどこかで
「あ、文っていうのは、こう書けばいいんだな」
と囁く声がしてきませんか?
さっきもリンクを突き止めた時点で極力読まないように半目になっておりました。情けない。当時もすぐパソコンを止めて、何も考えないように努めたもの。でも、感染しない手段はそれだけなので、もっと情けない。
彼の文章スタイルは、エキセントリックではなく、デンジャーです。
作品にも接触してしまったら、その気もないのに彼まがいのものしか書けなくなりそう。
小説でもなく、単なる寄せ書きみたいなものなのに強すぎます。鬼門です。
発病した文芸部員達が、「村上春樹からなかなか抜け出せない」と嘆いていたその訳がやっとわかりました。
怖いですね。彼はこのようにして、作家志望の青年達をツブシていくんですね。
というわけで青春時代の人見広介は、村上春樹を迂回しています。
- 作者: 鳥居ヤス子,小島祥子
- 出版社/メーカー: 星の環会
- 発売日: 2002/05/01
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