賢者の贈り物(トリックスター+仕様)


本来のあらすじ


貧しい夫婦が、相手に内緒でクリスマスのプレゼントを贈ろうと考えていた。
夫は、妻の髪に似合う櫛を買う為、大切にしていた金時計を売った。
妻は、夫の金時計に似合う鎖を買う為、自慢の髪を売った。


クリスマスの夜、プレゼントの箱を空けた二人は、
もはや用なしになってしまった互いの贈り物を前にして、
二人のお互いを思う心こそが、最良のプレゼントだったと微笑みあうのだった……。


「メリー・クリスマス。」



登場人物



・夫
関西弁。

・妻
同じく関西弁。アフロ。なんとなく兎が関西弁に似合いそう。





プロット

できれば夜。舞台中央の前方に、夫婦、並んで座る。
夫婦とは少し間を置いて舞台奥を、着飾った人々が通り過ぎたり(シルクハットなど)
太陽のエモティコン、音楽のエモティコンを出しながら行き交う。
今がクリスマスの夜であることを示す。

夫「えらいこっちゃなぁ……」
妻「ほんまほんま……」
夫「お前、今日クリスマスイブやで」
妻「知っとるがな」
夫「外は偉い騒ぎや……」(後ろを向き、キョロキョロする。)
妻「ケーキやったら、27日なったら買うで?」
夫「偉い粘りよるなぁお前。三日後て……」
妻「いくらなんでも、食べられんようなるかな? ナマモノやし」
夫「ま、気合次第やな」

ひときわ騒がしくなる外。告知で「メリークリスマス!」など出す人も。


夫「あー……お前、何か欲しもんあるか」
妻「何や急に。でもうちも、聞こうと思てた」
夫「わては、ないで」
妻「うちも。奇遇やな」
夫「奇遇に無欲やな」
妻「だって、うちビンボやもん」
夫「知っとるがな。言うなそれを……」


ふと、妻のアフロを眺める夫。電球のエモティコン。

夫「お前、今日もアフロやな」
妻「今さら何言うてんねん。天然パーマやって」
夫「わて、ちょっと外行ってくるわ」
妻「どないしたねん、急に……」
夫「まだ、店やっとるんかいな……」
妻「ん? 今、何か言うた?」
夫「今何時?」
妻「自分の時計見たらどうや。
/あんたの持ちもんの中で、一番高価〜な金時計を……」


妻、電球のエモ。

妻「あ……うちも、ちょー外出てくるわ。」
夫「お。そ、そうか。奇遇やな」
妻「奇遇にバラバラやね」
夫「ほんじゃま、後でな」


二人、別々の方向にはける。花火がひとつ、上がる。
先程とは反対の方から、舞台に上ってくる二人。
舞台中央まで来る妻。アフロをしていない。
夫、中央まで来る途中に気が付いて、驚きのエモ。

夫「お…お前…か…!?」
妻(振り向く)「あ、お帰り、あんた」
夫「ホンマにお前なんか……!?」
妻(憤慨のエモ)「当ったり前や!
/あんた何と結婚したつもりなんや! 髪の毛か!」
夫「お前、なんで? どないしたん?
/まさか、マフラーひとつ買えないから……(中央に来る)」
妻(憤慨のエモ)「そうや、毛糸にしようと思て……
/って、何でやねん! どんな自給自足や!」(再び憤慨のエモ)
夫「そうかー……じゃあ、コレ、無駄になってしもたな……」


と、夫、箱の形のアイテムを放り出し、/sadキーで落ちこむ動作。


妻「なんや、この箱……(拾う)
/こ、これ……育毛剤!?」
夫(座りながら)「そうや……お前の自慢の髪、一回りイカツクしてやろ思て……」
妻「なんやそれ。フザケ半分なのかフザケ大部分なのかわからへんわ」
夫「でも……なんで切ってしもたん?
/お前が寒い、寒い言うから、俺は…
/これ買う為に、金時計売っ払ってしもうたのに……」


妻、しばらく黙る。「これ……」と言いながら、箱を放り出す。夫、拾う。

夫「こ、これは……
/鎖……?
/でも、なんか錆びとる。イジメの一種か?」
妻「コーラルビーチダンジョン、行ってきたんや。
/あんたの時計の鎖にしてもらお、思て。
/大変だったでぇ、攻撃型はドリル苦手やし……」
夫「そんなゲーム事情はどうでもええねん」
妻「でも、時間がのうなってしもてね。
メガロの露店で買おうと思たら高いから、お金が欲しゅうて……」
夫「お前……アフロ、売ってしもたんか!?」
妻「うん。(太陽のエモ)
/「この髪、売ります」ってPT看板出しといたら、人が仰山来たで」
夫「どこの酔狂が買いに来たん?」
妻「あんなぁ、よくわからへんけど……
/理科の先生とかいう人とか……」
夫「スチールウールと間違えたんやな……」
妻「これだけあれば30匹ぶんはでけるとか……」
夫「ようわからんけど、多分マリモ関係やな……」
妻「争奪戦やったで(太陽のエモ)」
夫「そっかー……」


再び、外を人が通り始める。賑やか。外を見つめ、互いを見つめる二人。

妻「ふたつとも、無駄になってしもたね。」
夫「いや、そんなことないで。鎖は成長合成に使えるし」
妻「育毛剤で、髪の毛はよう伸びるもんな」
夫「どちらにせよ、気の長い話やねぇ……」(背を向ける)
妻「さびた鎖、なんで13個も必要なんかな、ネイトはん……(背を向ける)」
夫「集まる訳ないやんな」
妻「インフレの原因やわ」
夫「ほんまほんま」
妻「でも……」
夫「ん?」
妻(夫のほうを向いて)「この髪が、もとの長さに戻る頃になっても、あんたのこと好きや」
夫(妻のほうを向いて)「俺も。さびた鎖13個なんて任しとき。スキル使えば、あっという間やで。
/お前の分まで、死ぬ気で頑張ったる!」
妻「あんた……」


夫と妻、寄り添ったまま後ろを向く。花火、客席から複数上がり続ける。

夫「メリークリスマス…」
妻「愛してる…」




劇終。



※セリフは随時変更していきます。
この原案は多少コテコテ感が否めない為、セリフ回しについての皆さんのご意見、熱狂的にお待ちしております。
個人的には、もう少しコントっぽくしたいと思っています。


ネイノー