シラノ・ド・ベルジュラック(トリックスター+仕様)


シラノ・ド・ベルジュラック (岩波文庫)

シラノ・ド・ベルジュラック (岩波文庫)



・おもな登場人物


シラノ・ド・ベルジュラック
主人公。饒舌にして皮肉、天才詩人にして劇作家。小隊を任されている凄腕の剣士でもある。
美貌の従姉妹ロクサーヌへの愛情を秘めているが、醜い容姿がコンプレックスで、
愛に臆病である。

(原作では異常に大きな鼻のある人物であるが、TS内ではキャラの耳などで、
異形の人である事を示す。)


ロクサーヌ
美貌の青年クリスチャンに恋をする。
美しい言葉を愛する貴族の令嬢。シラノの上官である、ド・ギッシュ伯爵に言い寄られている。(清楚な人物。装いによって全女キャラで可能)


クリスチャン
シラノ率いるガスコン小隊の新入り。見た目はいいがとても口下手。
ロクサーヌに一目ぼれしている。(ドラゴンが適任か)


ド・ギッシュ伯爵
名誉を重んじる高飛車な男。
シラノには口げんかに勝てないし、ロクサーヌは振り向いてくれないしで、
ストレスの溜まる毎日を送っている。(本当ならブラッド伯爵が適任だが、無理


(その他の登場人物)


パーティーの人々

ガスコン隊員

敵兵

修道女たち

年長のシスター

ロクサーヌお付きの修道女


(これらはほぼ全員、装備の付け替えによって二役、三役可能だと思います。)



・あらすじ


天才詩人にして劇作家、豪腕な剣士でもあるシラノ・ド・ベルジュラックの名は、パリの街で知らぬ人はいなかった。
しかし、彼にも人に言えない悩みがあった。醜い容姿のせいで、美貌の幼馴染ロクサーヌへの愛を打ち明けられないこと……。


そんな折、ロクサーヌからパーティーに誘われるシラノ。
もしや……と軽く胸を弾ませて、一世一代の恋文をしたため、彼女の元に向かったシラノを待っていたのは、ロクサーヌの痛切な、それでいてシラノにとっては残酷なる告白だった。
なんと、彼女はシラノ率いるガスコン小隊に新しく配属された、美貌の青年クリスチャンに恋をしてしまったのだという。
シラノの心を知らないロクサーヌは、クリスチャンとの仲を取り持って欲しいと掛け合う。


一方でクリスチャンも、ロクサーヌに一目ぼれしていた。だが、ロクサーヌは詩を愛する女性。まったく文才のないクリスチャンにかわって、シラノが恋文を書くことを請け負う。


バルコニーの上にはロクサーヌ、下にはクリスチャンとシラノ。シラノは木の陰に姿を隠し、クリスチャンのかわりに、ロクサーヌへ愛の告白をする。
結ばれる美しい男女、しかし、二人の愛を知ったド・ギッシュ伯爵によって、クリスチャンは最前線へと送られてしまう。日頃から伯爵と仲の悪かったシラノも、小隊ごと。


戦地からも、クリスチャンの替わりにロクサーヌへ愛の手紙を書き続けるシラノ。
だが、クリスチャン恋しさに戦場までやって来たロクサーヌの目の前で、クリスチャンは戦死してしまう。嘆きながら永遠の愛を誓うロクサーヌを見て、自分が恋文を代筆していたことは、一生誰にも言うまい、とシラノは心に決めるのだった。


十五年後、修道院に入ったロクサーヌに会いに、シラノは毎週やってくる。
その日もシラノはロクサーヌ相手に話を交わしていたが、実は事故で重体であることを隠しているのだった。
クリスチャンの話になり、すらすらと内容を暗誦してみせるシラノ。ロクサーヌはそこで初めて、彼が手紙を代筆していたことを知る。
泣き崩れるロクサーヌの腕の中で、満身創痍のシラノは天に召される。




・プロット



第一幕 〜ロクサーヌの告白〜

パーティー。舞台上には大勢の人物。ささやく言葉は、戦争に関する事柄。
(社交場なので、花飾り、シルクハットが被れれば、使用が望ましい)
舞台左手前あたりは人だかりが丸く空いていて、そこにはロクサーヌと
ド・ギッシュ伯爵。伯爵は、次に戦果を上げたら彼女にプロポーズすると
いきまいているが、ロクサーヌは嫌そう。
人波が中央から二つに別れると、奥にはシラノがいる。
人々は口々に、シラノに過日のオペラ座での立ち回りのことを尋ねるが、
シラノが探しているのはロクサーヌ。
シラノをうながし、舞台袖に去るロクサーヌ。人だかりと伯爵、退場。
やや離れて、ロクサーヌはシラノに背を向けた格好。告白する。
近づいて見詰め合う二人。
ロクサーヌが去り、シラノは舞台中央で嘆く。


第二幕 〜クリスチャンとの約束〜

ガスコン小隊の練習場。鍛錬に余念のない人々。
(勇ましい武装。/happyキー、/sadキー、/angryキーや感嘆符の告知などで、
騒がしさを表現する。
スキルは音が出るので不似合いかと思われる。)
袖から現れるクリスチャン。先輩の隊員らが集まり、クリスチャンを囲む。
この小隊では、シラノの醜い容貌について触れるのはタブーだと教える。
シラノが袖から現れる。
乞われて、先日の大立ち回りを話すシラノ。
いちいちクリスチャンが、シラノの逆鱗に触れるような茶々を入れる。
気が気でない隊員たち。
(エモティコンを使う。)
シラノ、クリスチャンの名前を聞くと、隊員たちを下がらせる。
クリスチャンから、ロクサーヌを愛していることを告げられるシラノ。
シラノは恋文の代筆を請け負う。

第三幕 〜バルコニーでの告白〜

(どうにかして、時間も夜中であることが望ましい)
恋文の指示に従って、夜、バルコニーに現れるロクサーヌ。舞台中央。
シラノが代筆した詩的な恋文にめろめろになっている。
シラノとクリスチャンは、舞台下左ななめ下あたりに立つ。
最初はセリフをクリスチャンに指示していたが、まだるっこしいので、
途中からシラノが告白する。
上がってくるように言うロクサーヌ。クリスチャン、舞台中央へ昇る。
(二人は見つめあいながら、ラブいエモティコンを出す。)
その様子を黙って見つめるシラノ、背を向けて去る。
二人もエモを出しながら、仲良くはける。


第四幕 〜ド・ギッシュ伯爵の陰謀〜

舞台中央、ロクサーヌと伯爵。
シラノとクリスチャンを最前線に送ることを告げる伯爵。
(キラーンのエモ)
ロクサーヌ、青筋のエモ。
伯爵、去る。
ロクサーヌは、クリスチャンの無事のみを祈る。


第五幕 〜クリスチャンの戦死〜

舞台右手、やや前にシラノが座って手紙を書いている。隊員がやってくると、
立ち上がり手紙を書いていることを隠そうとする素振り。
(汗のエモ)
隊員(武装)、敵がここまでやって来るのがもうすぐだと告げる。
そこへ、左手からロクサーヌがやって来る。
慌てるシラノと隊員(驚きを表すエモ)
ロクサーヌ、お茶目に謝る。クリスチャン恋しさにやって来たと告げる。
同じ方向から、クリスチャン登場。驚く。
すぐにラブいエモティコンを出す二人。
客席から夜光花と、口々に敵襲を告げる隊員。
シラノ、すぐさま武装。
右手からスキルで赤くなった軍勢、
左手からスキルで青くなった軍勢が走ってくる(いずれも武装)。
しばらく舞台上を走り回る。
名前を呼び合う恋人達。
シラノはロクサーヌに、クリスチャンと逃げるよう指示。
軍勢とシラノが去った後、舞台中央で倒れているクリスチャンと、
座って嘆いているロクサーヌ。
シラノ、右手から登場。袖付近でその光景を見ている。
ロクサーヌ、戦地から来た、まごころのこもった手紙の礼を言う。
クリスチャンはそれを、シラノが書いたことを告白しようとするが、
事切れる。
シラノに抱きつきながら、クリスチャンとの永遠の愛を誓うロクサーヌ


第六幕 〜十五年後〜

女キャラが一列に並び、後ろを向いている。
(修道院なので、装備はなし。)
一人の年長という設定の修道女が、「アーメン」と言うと、
他の修道女達もそれに続く。
年長の修道女が去ると、若い者達、円座になる。
一人が、シラノが今日もロクサーヌに会いに来ることを告げる。
数人、ラブ、太陽のエモティコン。
他の一人が、ロクサーヌが、クリスチャンの戦死の後、
この修道院にやって来て操を守っていることを褒める。
全員、口々に同意。
そこへ年長の修道女、やってきて叱る。(仕事に取り掛かるように)
若い修道女達は、不平を言いながら散り散りになる。
(不満を表すエモティコンを出しながら、はける)
年かさのシスターもすぐに退場。
左手、ロクサーヌ。座って、手前にいる一人の若い修道女と、
世間話をしている。
(天気や木々の話などで、ここが屋外、庭であることを示す)
修道女はやたら外の事情に精通していて、軍を引退したシラノが最近、
批判的な記事を書いて、政界など方々に敵を作っているという。
ロクサーヌ、相変わらずだと微笑む。
シラノ、右手からゆっくりと現れる。
そちらを向かずにロクサーヌ、十五年のうち、初めて彼が遅刻したと笑う。
修道女、ロクサーヌの背後から少し離れた辺りに控える。
ロクサーヌは、ふと十五年前のことを思い出し、
胸から戦地より送られてきた、クリスチャンの手紙
(本当はシラノが書いた)を取り出す。
懐かしそうに読むロクサーヌ。
シラノ、離れた場所なのに、その手紙を暗誦してみせる。
真実に気が付くロクサーヌ。
シラノの様子がおかしいので、駆け寄る修道女。
シラノ、ゆっくりと舞台中央へ。座る。
ロクサーヌもやって来て、立ち尽くす。
本当は自分を愛していたのかと尋ねるが、シラノは違うと答える。
(ここから最後のせりふまでは、文庫本を引用したいと思っています。)
絶命するシラノ。

ロクサーヌとシラノをそのまま残して、出演者全員が二人を隠すように立ち並ぶ。
夜光花を上げて、劇終。