第百一回 極楽へ逝かせてあげるわ

小物屋で働いている友人に、



霊視のできる友達ができたそうです。



最初はお店にやってきたお客さんだったそうなんですが、


その時友人がひとつのバッグを指して、


「これなどいかがですか?
入荷してから、まだ一つも売れていないんですけど……」


と洩らすと、彼女は



「ああ、そのバッグなら……


今からちょうど一ヵ月後、お母さんと一緒にやって来た、
とてもかわいい女の子が買ってくよ


と言ったそうです。




一月後、本当に親子連れの可愛い女の子が買って行ったそうです。






またある時は、まじまじと顔を見られて、



「店員さん、休憩時間に煙草を立て続けに三本も吸うのはやめなよ」



とヘビースモーカーをずばりと言い当てられ、たまげたそうな。



なんでもその少女は、家族が亡くなった数日後、


突然何かが降りてきて、超能力を授かったそうです。



未来のこともわかるの?」と尋ねると、


うん。自分のこと以外なら」と頷くので、




さっそく恋 愛 運を占ってもらう


友人。(フリー)


(ちなみに友人は細木数子の信者で、

しきりに「広介って何星人?

と聞いてきます。本屋のレジの前に並んでるアレを買わせるつもりです。
私にとっては友人の方が違う星の人に見えるんですが……)



占ってもらった結果はというとかなり微に入り細を穿った感じで、



「今から10年後に結婚して、子供は三人。


それまでに二人の人と付き合うよ」


だそうです。




友人は「結婚するまでに二人かぁ……。あたし、男の子とは常に結婚を


前提として付き合いたいから、次に出会う人とは、「こいつとは続かないな」って


思いながら付き合うのかな? そんなの、嫌だなぁ……。」




と悩んでいるようだったので




そこで私はこう言ってやったのさ。
(↑アメリカンジョーク?)







「多分だけど、次に誰かを好きになった時は、


『霊能力者さん、残念だけど占いはハズレね。


だってこんな素敵な彼を見つけたんだもの。


私は彼とハッピーになってみせるわ』


って思うんじゃないの? ×2








友人は、「きっとそうだね」と言って、悲しげに微笑みました。





人見広介は、超能力とか占いとか好きな方だったんですが、
この時、ちょっと嫌いになりました。






あの子を好きにならないで! (講談社X文庫―Teen’s heart)

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