第九十一回 サスペンス一刀両断
帰りの静かな電車で、隅っこの若いカップルのうちの彼氏が、
やたらと一方的に話してるので何かと思ったら
デスノートのあらすじを
なんとか彼女にわかってもらおうと奮闘している所でした。
「なんかー、パソコンとかネットとか超出てきてー、
それ使ってっていうか見てー、ノートに名前書いて殺すの。
そのノートに名前書くと、あー、その人の顔を思い浮かべながら名前書くと、
その人、死んじゃうのね。
でー、ノート拾ったのが超頭いい奴でー、それでほら、普通さー、
そんなノート落とすのって、神様とかの気まぐれだと思うじゃん?
でもー、そいつはなんか自分が選ばれたとか思ってー、
自分が神になるとか、新世界の神になるとか言ってー、
すごい殺すのー。(※「の」にアクセント)
んでー、テレビのニュースとかに映った強盗の顔と名前見て殺すんだけどー、
敵が現れてー、ちなみにそいつも超頭いいんだけどー」
そのまま彼の説明は第二部まで及びそうでした。
ちなみに彼女は携帯見てた。
この世界に一人でも、
デスノートのあらすじを淀みなく、過不足なく講釈できる者がいようか?
きっと大場つぐみでも無理だと思います。
人見広介は、彼氏にエールを送りたい。
ギャルっぽい彼女が携帯を手放して、コミックスを手に取る日を待っています。
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