第三十五回 半分は人体で出来ています
「血曼荼羅」ってご存知でしょうか。
血と髪の毛を材料に加える執念のクリエーションです。(情報はこちらをクリック)
ただ、そんなにネガティブな感情はなく、集中力と祈りの深さを表すのにたびたび人体の一部は使われていたようです。
でもおっかないよね!!
己のうちに流れる仏教徒の血が信じられなくなるほどに。
ま、この風習はあくまでも昔の話―――
ですが、これを見て貴方は、現代の血曼荼羅を想起せずに居られるでしょうか……。
通っている大学が明後日から学園祭です。
門の近くには早くも各部の立て看板が立ち並び始め、否応にも盛り上がるお祭り気分。
さっき、部員達と一緒に帰ろうと、門の外に向かって歩いていったんですね。
すると、我が部(文芸部)の立て看板はどこだろう? ということになり、一斉に皆でキョロキョロし始める。
そしたら、見えちゃったんです……
漫研の看板が。
遠いですがわかりますか?
「この看板、毎年一年生が描いてるらしいですよ」
「へー」
ほんと、「へー」で済む感じ……ところが、
隣の合気道部
う ま
上手っっっ!!!
セイヤ! セイヤッ!!
(これ、去年もあったっけなぁ〜?)
合気道部と美術部を兼部してらっしゃる文武両道な人がいるのでしょうか。それとも……
精神で描いたんですか? 部長さんとかが。
以下、作品制作時の合気道部・部長さんと部員(頭の中では全員坊主)の会話―――
部長「ッシャ! カンバス持ってこんかーーい!!」(この上ないほど豪傑風に)
部員「ッス!(置く)」
部長「だぁ! ソリャッ!」
(ビシュッ! ビシュッ!)
説明キャラ「す、凄い! 部長の拳にこめられた気迫が極彩色の絵の具となって、カンバスにこの上なく精巧な絵画を映し出している!
組み手を行う二人の人間、まさに合気道のシンボルとも言うべき情景を!!」
ドジな部員「(ガッシャーン!)
ああっ……すみません部長、バケツひっくりかえしゃちゃいましたぁー!」
部長「……セイッ! セアァ!!」
(ビシュッ!)
説明キャラ「騒音にものともしないこの集中力……この男、本物だ……!!」
ドジキャラ「(バケツを抱えたまま、涙を流しながら)……っしたァ……!」
部員「部長、もうやめて下さい! このままでは部長のお体が……」
部長「描かずにはおられんのだよ……セイァァ! この命、尽きようともなぁ……!」
部員たち「部長ぉぉうーーーーーーー!!!」
学祭に使う看板にそんな……その前に気とか送ってやれよ! 部員。
みたいな。
アツいなぁ!!
人見広介は、中学以来運動と無関係なので、熱血に少し憧れるのですよ。
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